賛同者からのメッセージ

2025年5月19日月曜日

日本学術会議の「特殊法人化」に対する島根大学有志の反対声明

  2020年に6名の会員候補者の任命を明確な説明なしに拒否した政府は、日本学術会議を特殊法人化する法案(以下、法案)を今国会に提出しました。この法案は衆議院を通過し、現在、参議院で審議が行われています。

 私たち島根大学の現教職員・元教職員有志は、憲法が保障する学問の自由を侵し民主主義を破壊する本法案に反対します。

 日本学術会議は、戦前の科学者が戦争に協力したことへの反省の上に、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って」1949年に結成され(「日本学術会議法」前文)、政府からも「独立して」職務を行うとされています(同法第三条)。

 しかし、法案はこの前文の全てと「独立して」の文言を削除する一方、新たに内閣総理大臣が任命する監事と日本学術会議評価委員を新設して、政府が学術会議の運営に介入する道を開いています。さらに、学術会議の公開性を高めるためという説明に反して、役員・会員・職員に守秘義務を課しています(第三十四条)。

 政府は、法人化によって学術会議の独立性は高まると説明しています。しかし、自律的な運営が可能になるとうたって強行された「法人化」によって、国立大学は財政基盤が弱体化し大学自治が大きく損なわれてきたことを、私たちは身をもって知っています。

 日本学術会議は、政府に対して、時には耳の痛い提言や勧告を行ってきました。このような日本学術会議の自律性を奪い、その役割を変質させようとするのが今回の法案です。現に、日本学術会議がこの法案に対する重大な懸念を表明しており、これを無視して法律を審議していること自体が、この法案の問題点を示しています。

 日本学術会議は、これまで三度にわたって戦争・軍事目的の研究は行わないと表明してきましたが、法案の狙いは、このように軍事研究を拒否する日本学術会議を解体することにあると報道されています。島根大学憲章は、「国際社会の平和と発展に貢献」し「学問の自由と人権」を尊重するとうたっており、私たちは、この点からも法案に対して強く反対します。

 法案の審議過程では坂井学担当大臣が「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は、今度は解任できる」などと答弁したことは、先の6名の会員任命拒否と併せて、日本学術会議の独立性、学問の自由や表現の自由を侵害する法案の危険性を明確に示しています。

 学問の自由の侵害が言論の自由や表現の自由の制限とも連動して民主主義を危機に陥しいれ、戦争に至ったということは、戦前の歴史的経験が示しています。私たち島根大学の現教職員・元教職員有志は、この法案の危険性についての認識を市民の皆さんとともに共有し、廃案を強く求めていきます。

*賛同いただける方は下記フォームにご記入ください。
 https://forms.gle/it2zv6VNiSBPgdgV7

2021年1月22日金曜日

日本学術会議会員の任命拒否問題と「学問の自由」についての声明

日本学術会議会員の任命拒否問題と「学問の自由」についての声明

  日本国憲法第23条で保障された「学問の自由」は、学術・研究機関の自治とそれによる自律的な活動を制度として保障するものです。「学問の自由」の否定が国民の諸権利剥奪の第一歩であった戦前日本の苦い経験が示すように、「学問の自由」が失われることは、研究者だけでなく社会全体にとっての重大な問題です。

  このように「学問の自由」は、単に個々の研究者が自己の関心に基づいて研究できる自由のみを指すものではありません。学問の世界は、真理の探究を目指す立場から社会に向けた提言を行う役割も担っており、こうした役割を果たす上では、政治的権威からの干渉を排するという意味での「学問の自由」が不可欠です。

 日本学術会議は、学術・研究機関が戦争の一翼を担った過去の反省に基づいて設立され、学問的な立場から社会に向けた提言を行うことを負託された機関です。その会員選定に対する政府による干渉は、上記の意味での「学問の自由」に対する侵害に当たります。したがって政府には、任命拒否の理由を説明し、正当な理由がない場合は拒否された6名を直ちに任命することを求めます。

 「学問の自由」が危機に直面している今、私たち山陰地域の研究者は「学問の自由」を守るため、ともに声をあげます。

       2020年12月 「学問の自由」を求める山陰地域の研究者ネットワーク 

 

*賛同してくださる山陰地域の研究者の方は、島根大学法文学部・関耕平あてに、メールをいただければ幸いです。(メールアドレス:sekik(at)soc.shimane-u.ac.jp)*(at)は@に直してください。

賛同者一覧(随時更新していきます)2021.2.9現在:185名

 賛同者一覧(随時更新していきます)
2021.2.9現在:185名

赤坂 正秀 浅田 健太朗 朝田 良作 芦田 耕一 安齋 有紀

飯田 泰三 飯野 公央 井口 隆史 石賀 裕明 石田 徹 

磯村篤範 板垣 貴志 一戸 俊義 一盛 真 伊藤 英司 伊藤 勝久

伊藤 光雄 伊藤 康宏 井上 厚史 井上 定彦 井上 寛司

茨木 透 今岡 稔 岩井和由 岩瀬 峰代 岩本 崇

岩本 真実 内田 融 浦野 健 會下 和宏 江角 智也 遠藤 昇三 

大谷 直史 大西 俊江 大橋 泰夫 大平 明弘 岡崎 勝彦

岡崎 由美子 岡村 知子 岡本 寛 尾崎 浩一 大日方 克己

角田 徳幸 角矢 永嗣 葛西 洋平 片岡 佳美 片木 克男 

片桐 成夫 勝部 智明 加藤 克夫 金山 富美 亀井 淳志 

岸本 覚 北村 直彰 吉川 通彦 鬼頭 宏一 木内 公一郎 

木村 佳則 清原 和之 國井 秀伸 國本 真吾 久保 満佐子 

倉恒 康一 小泉 凡 河野 美江 小竹 雅子 小玉 芳敬 

小林 准士 小林 亜希子 小林 勝年 小林 久高 小南 理恵 

小柳 正司 小山 哲 是田 敦 齋藤 文紀 斎藤 一 坂田 崇 

坂本 一光 佐々木 愛 佐々木 允臣 佐藤 鮎美 佐藤 利夫 

佐藤 桃子 猿渡 壮 澤田 彩 三瓶 良和 塩見 邦彦 篠村 恭子

渋谷 聡 杉崎 千洋 杉 岳志 杉谷 真理子 菅森 義晃 

鈴木 慎一朗 関 耕平 瀬戸 浩二 髙須 晃 高山 寿雄 

多久田 友秀 竹内 潤 武田 育郎 竹永三男 田坂 郁夫 

田中 一馬 田中 奈緒美 田中 則雄 田中 義昭 谷口 憲治 

田村 葉子 津多 成輔 堤 雅雄 出口 顯 徳岡 隆夫 富澤 芳亜

鳥谷 智文 内藤 忠和 永松 正則 中村 新一郎 中安 恵一 

西尾 良一 西﨑 緑 西村 正太郎 西村 行雄 野坂 俊之 野津 和功

野間 純平 野本 瑠美 長谷川 博史 秦野 薫 波多野 敏

花谷 浩 浜田 幸絵 浜田 章作 林 広樹 原 豊二 日置 佳之 

平郡 達哉 平野 芳英 平松 弘光 廣嶋 清志 吹野 卓 福井 栄二郎 

福原 裕二 藤岡 大拙 藤田 安一 藤田 達朗 藤本 晴久 古野 毅 

保母 武彦 毎熊 浩一 槇原 茂 増原 善之 松浦 雄二 松崎 有未 

松崎 貴 松本 岩雄 丸橋 充拓 三木 裕和 三宅 孝之 宮澤 文雄 

宮本 恭子 三輪 拓夫 椋木 利則 村井 洋  望月 真祐 諸岡 了介 

矢野 健太郎 山内 靖喜 山崎 泰孝 要木 純一 若槻真治 

渡辺 貞幸 渡邉 英俊 渡邊 太 和田 嘉宥

                     匿名9名

 

 (参考:賛同者内訳(匿名除く))
島根大学114名(うち元職等43名)
島根県立大学16名(うち元職等6名)
鳥取大学13名(うち元職等3名)
島根考古学会9名
鳥取短期大学5名(うち元職等3名)
島根県古代文化センター4名
松江高専2名 
米子高専3名(うち元職等3名) 
島根史学会9名
山陰在住の大学退職者 1名

日本学術会議の「特殊法人化」に対する島根大学有志の反対声明

  2020年に6名の会員候補者の任命を明確な説明なしに拒否した政府は、日本学術会議を特殊法人化する法案(以下、法案)を今国会に提出しました。この法案は衆議院を通過し、現在、参議院で審議が行われています。  私たち島根大学の現教職員・元教職員有志は、憲法が保障する学問の自由を侵し...